自賠責保険と任意保険の違いについて教えてください。
【事例】自動車保険には自賠責保険と任意保険があると聞きましたが、補償範囲や請求の仕方などで違いがあるのでしょうか?
【答え】
任意保険は、あくまでも加入するかどうかは自由ですが、自賠責保険は、自動車損害賠償補償法(自賠法)によって契約の締結が義務付けられています。
任意保険には、物損事故も含まれ、また、広く自動車の所有、使用又は管理に起因する人身事故による損害を補償しますが、自賠責保険によって補償されるのは「運行によって」生じた他人の生命または身体に対する事故のみです。
したがって、人身事故の場合は自賠責保険の支払はなされません。
自賠法16条は、被害者から保険会社に対し損害賠償額の支払を直接請求することができると定められています。
任意保険においても被害者の直接請求は認められますが、保険会社の了解のもとで当事者間において損害賠償額について書面による合意が成立するなど一定の要件を満たした場合にのみ認められます。
現在の政令に基づく自賠責保険額は、死亡による損害に対し3000万円を、傷害による損害に対し120万円を上限とし、後遺障害に対しては75万円から3000万円の別途支払いがなされます。
それに対し、任意保険においては、契約によって各損害に対する支払限度額が決まってきます。
被害者に過失があった場合、その過失の割合に応じて賠償金の減額がなされます。任意保険では、この過失相殺が厳格に適用されることになります。
それに対し、自賠責保険では、被害者に重大な過失がある場合にのみ過失相殺による減額が行われます。7割未満の過失では減額はなく、それ以上の過失でも5割までしか過失相殺は行われません。