ペットに自分の財産を相続させたいのですが、可能でしょうか?
【事例】私は身寄りもなく、一緒に暮らしているのはペットの猫だけです。万一、私に何かあった時のために、猫に財産を相続させたいのですが、どのようにすればいいのでしょうか。
【答え】
端的にお答えすると、ペットは法律上「モノ」として扱われており、権利義務の主体となることは認められていません。ペットが契約の当事者になったり、債権を行使したり、不動産を所有することは現行法上認められていません。
それゆえ、ご質問のような、猫に財産を相続させることは不可能です。
もし、ペットの面倒をみる人が誰もいなくなることをおそれているのであれば、信頼のできる人と負担付死因贈与契約を締結することを検討してもいいでしょう。「死因贈与」とは、贈与者が死亡することによって効力が発生する特殊な契約です。「負担付」とは、読んで字のごとく、贈与はするけど一定の負担もしてほしいという意味です。信頼のできる人と、「自分が死んだあとにペットの世話をすることを条件に財産を贈与する」という契約を締結することで、ペットの面倒を見てもらえることになります。
ほぼ同様の効果をもたらすものとして、負担付遺贈という制度もあります。これは、信頼のできる人に、ペットの面倒を見てくれることを条件に財産を譲渡するという制度です。ただし、遺贈は、財産をもらう人がいつでも放棄できる制度なので、誰に任せるかを慎重に選ぶといいでしょう。