ヤミ金と思われる高利貸しからお金を借り、小切手を取られてしまいました・・・
【事例】私の経営している会社の経営がうまくいかず、DMに応じてしまって、小切手を担保に300万円を10日で3割の利息で借りてしまいました。どうすればいいですか?小切手を取り戻す方法はありますか。
【答え】これは、典型的な「システム金融」と呼ばれるもので、いわゆるヤミ金です。より詳しく述べますと、中小企業に対してFAXやDMで貸付勧誘を行い(このFAXやDMは大抵小奇麗なもので、金利も安く書かれています)、債務者振出に係る手形や小切手を決済手段とする貸金業者をいいます。無論、違法金利であり、犯罪行為です。
手形や小切手を担保に取ることで、債務者は、違法な高金利であることを分かっていても不渡りや銀行取引停止処分を避けようとして支払不能に陥るまで返済を強いられるようになります。
一度システム金融から融資を受けると、いわゆる「カモ」としてヤミ金の顧客名簿に掲載されてしまい、他のシステム金融からも勧誘を受け、借金が雪だるま式に増えていくことが厄介な点です。
こうしたヤミ金に対しては、一切返済する必要がありません。借りたお金を返す必要もなく、既に返済したお金を返すよう請求することもできます(もっとも、ヤミ金は証拠を残さないように営業しており、事実上お金を取り戻すのは困難なケースが多いでしょう)。
手形や小切手が担保に取られているのであれば、まず、その不渡りを回避する必要があります。弁護士が介入し、取立禁止の仮処分当の申し立てなどの手段を取らなければならないでしょう。
ヤミ金からは、絶対にお金を借りないでください。犯罪です。
債務整理をしたいのですが、住宅は手放したくありません。何か方法はありますか?
【事例】私の勤めている会社の業績が落ちてきて、給料も下がってしまいました。給料が下がる前に住宅ローンを組んで家を買いましたが、支払ができない状態です。どうしたら家を手放さずにすみますか?
【答え】住宅ローンを組む際は、担保のため、住宅に抵当権が設定されるのが通常です。すなわち、今の状態が進めば、家は競売にかけられ、手放さざるを得なくなるでしょう。これを防ぐためには、民事再生法の中の「住宅資金貸付債権に関する督促」(住宅ローン督促)を活用する方法があります。
これは、民事再生手続において、再生債務者に抱える住宅ローンのうち、一定の要件を満たすものを、「住宅資金貸付債権」として、融資時に定められた返済計画を修正して、債務者が住宅ローンの返済を継続することを可能にする制度です。もっとも、住宅ローンの減額までは通常はできませんので注意してください。
住宅ローン督促を用いた個人再生は、通常の債務整理以上に難しい問題です。保証会社も絡んでくるため、迅速に動かなければ目的を達成することができなくなります(保証会社が代位弁済してから6カ月たってしまった場合、住宅を守ることは事実上不可能になるでしょう)。
こういった悩みを抱えている方は、普通の債務整理以上に、早急に弁護士に相談してください。
私は自己破産をしたことがあります。もう一度自己破産できますか?
【事例】私は5年前に、借金を返しきれなくなって自己破産しました。5年後の今、また借金が返せなくなってしまったので、再度の自己破産を考えています。可能でしょうか?
【答え】自己破産を申し立てても、必ずしも債務を逃れられるわけではありません。債務を逃れることができないケース(免責不許可事由、破産法252条第1項)は法律で規定されており、その中の一つに、破産者が免責の申立ての前7年以内に免責を得たことがある場合があります(破産法252条第1項10号)。
よって、この規定を形式的に適用すれば、貴方は自己破産できないことになります。
自己破産を受けるためには、もう少しだけ時間がたつのを待って、7年経過後に自己破産の申し立てをしてみるという方法があります。また、やむにやまれぬ事情があれば、裁判所が免責を認めてくれる可能性もあります(「裁量免責」といいます)。
ただし、前回の免責から原則は7年間は自己破産できないことは事実です。法律も、そう何度も自己破産をされては、債権者の利益を害し、破産者の更生にもつながらないという考えに基づいて決定を出します。
自己破産後の借り入れは取り返しのつかない結果を招くことがありますので、絶対におやめ下さい。
過払金という言葉を聞きましたが、これは何でしょうか?
【事例】私は昔サラ金からお金を借りていたことがあります。かなりの高金利だったと思うのですが、過払金はあるでしょうか。契約書などは何も残っていないのですが、請求は難しいでしょうか。
【答え】サラ金やクレジット会社からお金を借りる場合、利息制限法に違反した部分の金利は無効になります。この無効になった部分について、返済をしていた場合、サラ金やクレジット会社に返金を求めることができます。これがいわゆる過払金というものです。
利息制限法1条では、以下のように利息の制限が規定されています。
1 元金の額が10万円未満の場合 年20%まで
2 元金の額が10万円以上100万円未満の場合 年18%まで
3 元金の額が100万円以上の場合 年15%まで
この規定以上の金利でサラ金やクレジット会社と取引をしていた場合、借金が減ったり、過払金が発生することがあります。
「過払い金を請求したいけど、資料が何も残っていない」という相談はよく受けるところです。資料が何も残っていなくても、ごく一部の例外を除いて、業者に請求することで今までの履歴を開示出来ますので、それをもとに計算することになります。何も持っていなくても、過払請求はできます。
既に取引を終わっている方はもちろん、現在も借金を支払っている人でも、弁護士が介入して利息制限法に基づく計算をしたところ、過払金が発生したケースは無数にあります。
実際に当事務所で扱ったケースでは、某大手貸金業者から100万円以上の請求が来ていたのですが、弁護士が介入した結果、借金がすべてなくなり、それどころか過払金が350万円もの過払金が返ってきたケースもあります。
また、現在の請求書の金利が利息制限法に反しない利息であっても、昔は金利が高かったという業者がほとんどです。その場合でも過払金の回収や借金の減額が期待できます。
サラ金から送られてくる請求書の金額は、正しい金額とは限りません。大手だからと言って簡単に信用したりせず、まずは弁護士にご相談ください。
当事務所の債務整理専門サイトhttp://www.moegi-saimuseiri.com/もご参照ください。
自己破産をすると、財産をすべて失ってしまうのでしょうか?
【事例】自己破産についてお聞きしますが、自己破産をすると住宅や貯金など全ての財産を失ってしまうと聞いたことがあります。これは本当なのでしょうか。本当だとしたら、自己破産をした後、どうやって生活をすればいいのでしょうか。
【答え】ご質問にもあるとおり、破産手続きをした場合、原則として、破産者は財産の管理処分権を失います。財産がある場合、破産管財人が管理することになります。
しかし、破産しても全ての財産を失うとまではいい切れません。法律上、破産後においても破産者が管理できる財産(これを「自由財産」といいます)が定められています。自由財産として法律で定められているのは、以下の通りです(破産法34条3項)。
1 99万円以下の貯金
2 法律上、差押が禁止されている財産
3 破産開始後に取得した財産
このうち、2について補足すると、生活に欠くことのできない財産(家財道具など)は、法律上差押えが禁止されています。すなわち、自己破産をしても、生活ができなくなるほど財産を失うことはないのです。
また、生命保険は原則として解約され、解約返戻金が債権者の配当に充てられますが(解約返戻金の金額次第では自由財産になることもあります)、簡易生命保険の場合、平成3年3月31日以前に契約したものについては解約されません。
さらに、破産法は、「自己破産の拡張」という制度を設けています。これは、上記の自由財産に当たらない場合であっても、破産管財人の意見を聞いて、裁判所が必要により、本来は自由財産ではなく破産管財人が管理処分すべき財産を破産者の手元に残すことを認めてよいというものです。
なお、破産者の財産と破産者の家族や会社の財産とは基本的には関係ありません。密接な関係に立っているからといって、家族や会社の財産を破産者の債務の支払いに提供しなければならないことはありません(連帯保証人になっている場合は除きます)。
最後に、財産を失いたくないからといって財産隠しをしたうえで破産手続開始決定をすると、詐欺破産罪という犯罪になります(10年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科)。絶対にそのような行為はやめてください。
自己破産をしようと思っていますが生活にどう影響しますか?
【事例】借金が返せないので、自己破産を考えています。自己破産をすることで、どのようなメリットやデメリットがありますか?住民票や戸籍に載ったり、選挙権がなくなったりするのでしょうか?
【答え】
自己破産をすることで被るデメリットとしては、次のような点が指摘できます。
1 不動産や価値のある動産などを持っている場合、手放すことを余儀なくされます。
2 ブラックリストに記載され、5年から7年程度、金融機関から融資が受けられず、クレジットカードが使用できなくなります。
3 氏名が官報(日本国の機関紙であり、見ている人はあまりいません)に載ります。
4 一定の職業(弁護士や公認会計士、不動産鑑定士、警備員、生命保険募集員、風俗営業者など)に就くことができなくなります。免責が確定した後は資格が回復されます。
5 破産管財人がついた場合、郵便物が破産管財人に転送されます。
6 居住制限があります(破産手続き終了まで)。
よくある勘違いですが、破産をすると、住民票や戸籍に載ったり、選挙権を失ったり、家族の就職に影響したりすることはありません。破産手続き開始の後に得た収入は原則として破産者が自由に使用できます。海外旅行をすることができなくなることも、原則としてありません(例外として、破産管財人が選任された場合の破産手続き中に長期旅行をするときには裁判所の許可が必要になります)。
上にあげたデメリットも実際のところ、さほど生活に影響が出るものはなく、また、他人に知られる心配もほとんどありません。
破産手続きは、一般的にはイメージも悪く、躊躇する方もいます。しかし、破産手続きはこれまでの経済状態を生産する再起のための手続きです。多重債務に苦しんでいる方は、検討するべきと思います。
空き地に駐車して罰金10万円の請求を受けましたが、支払わないといけませんか?
【事例】よく駐車場や空き地に、「無断駐車をしたら罰金10万円」という張り紙を見ることがありますが、実際に無断駐車をした場合、張り紙のとおり罰金として10万円を支払わなければならないのでしょうか。
【答え】仮に、土地の所有者と「無断で駐車した場合は罰金として10万円を払います」という合意をしていた場合は、その通り10万円を支払う義務があるでしょう。一種の契約が成立していると見ることができるためです。しかし、そのような合意をすることはまず考えられません。
そうなると、この張り紙は、何らかの合意を示したものではなく、土地の所有者が一方的に宣告している、一種の警告ということができます。通常、無断駐車をした人は、この張り紙に承諾したものとは評価されませんから、張り紙に従って罰金10万円を支払う必要はないことになります。
もっとも、無断駐車をしても、全く損害賠償をする必要はない、というわけではありません。無断駐車をしたことによって土地の所有者に損害が発生した場合、損害を賠償する義務が生じます。
たとえば、駐車場に無断駐車をしたことによって、ほかの人に駐車場として貸し出すことができなくなった場合、無断駐車がなければ得られてたであろう駐車料金相当額を支払う義務が生じます。また、店舗の駐車場に無断駐車したことによって、店舗の売り上げに影響が生じた場合、その分の損害を賠償する義務が生ずることもあります。場合によっては、10万円よりもずっと多くの損害賠償をする必要があることもあるでしょう。
さらに、無断駐車を続けていれば、車をどかすための裁判を起こされたり、警察が入ったりする可能性すらあります。
いずれにせよ、無断駐車をしてはいけないということです。お気をつけください。