ワンクリック詐欺とは何でしょうか?
【事例】携帯電話のホームページのサイトでクリックをしていたら、間違って入会画面に接続してしまい、入会官僚の表示が出ました。その後、高額な利用料金の請求が届いています。これは支払わなければならないのでしょうか?
【答え】最近の詐欺の手口として「ワンクリック詐欺」が挙げられます。これは、インターネットを閲覧しているうちに、アダルトサイトや出会い系サイトへ接続してしまい、多額の金銭の支払いを求めてくる詐欺の一類型です。手口は多様化しており、警視庁のホームページでも取り上げられています。
このような料金請求はほとんどの場合不当なものであり、契約の無効を主張することができます。そもそも、画像などをクリックするだけでは契約の申し込みにはなりませんし、利用規約のないものについては契約の無効を主張することができます。
また、電子消費者契約法第3条では、事業者は消費者の申込みもしくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について、確認を求める措置を講じなければならないとされています。
利用規約があってもそれに同意する旨の確認措置を講じていなかった場合などは、他の画像をクリックしたことによって入会完了画面が出て、高額の利用料金を請求されても錯誤により無効になります(民法第95条)。
具体的な対応としては、無視するのが一番であり、メールに返信したり、氏名、住所、電話番号などの個人情報を伝えることはは絶対にしてはいけません。脅迫的な方法で金銭を要求しても相手にする必要はなく、もし御心配であれば警察に相談するのもいいでしょう。
既に払ってしまった場合、支払う必要が無いお金を支払ったわけなので、業者に対して返還請求をすることができます。もっとも、利用者個人がサイトや銀行口座から業者を特定するのは容易ではありません。なるべく早めに警察や弁護士に相談した方がいいでしょう。
インターネット上の匿名掲示板で悪口を書かれているようです・・・
【事例】インターネットの匿名掲示板に事実でない指摘を受けたり、悪口を書かれたりしています。どう対処すればいいでしょうか?
【答え】ネット上の匿名掲示板(2ちゃんねるなど)の書き込みについて、管理者といえども、勝手に削除することは認められません。しかしながら、ご質問のようなケースでは少々事情は異なります。
ご質問の事例のように、
① 書き込みにより他人の権利が侵害されていると信じるにつき相当の理由があったとき、
② 被害者からの削除要請があった旨を、書きこんだ者に通知して削除の同意を照会したが7日以内に同意しない場合、
書き込みを削除してもプロバイダ等は責任を負わないと規定されています(プロバイダ責任制限法第3条第2項)。
また、プロバイダ責任制限法には、発信者情報開示請求という制度もあり、書き込みにより権利を侵害され、損害賠償請求のため必要があるときは、書き込みをした者の氏名や住所等の開示を求めることができます(プロバイダ責任制限法第4条)。
具体的に損害賠償を求めるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。
まず、掲示板等管理者に対する発信者情報開示請求の仮処分を申し立て、掲示板等の管理者(コンテンツプロバイダ)に対し、発信者に割り当てられていたIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。これにより、行為者が使用しているプロバイダ等が判明します。
次に、プロバイダ責任制限法第4条に基づき、書き込みをした者の情報を求めた上で、その情報を基に、訴訟や調停などによって、損害賠償を求めることになります。
また、民事上の問題とは別に、名誉棄損罪により刑事告訴することも考えられます(刑法230条1項)。ただし、その行為が公共の利害に関する事実についてのものであり、かつ、その目的がもっぱら公益を図ることにあり、その事実が真実であった場合には、罰することはできません(刑法230条の2)。また、事実が真実でなかった時も、真実であると信じたことについて相当の理由がある場合には、名誉棄損罪は成立しません。
名誉棄損罪は、被害者からの刑事告訴があった時に初めて検察官が起訴することができるようになります(親告罪)。刑事告訴は、警察も受け取りを拒否することが頻繁にあるので、弁護士に作成させて弁護士同伴で提出することが有効です。
なお、民事上の問題と刑事上の問題を問わず、必ず証拠が必要になってきます。証拠がないのでは、損害賠償できないのはもちろん、警察も相手をしてくれません。
インターネット上の情報は、日々失われるものであり、名誉棄損行為を発見した場合、速やかにプリントアウトするなどして証拠保全をしなければなりません。