た行
・代位弁済(だいいべんさい)
債務者以外の者が債務者のために弁済した場合に弁済者が債務者に対して取得する求償権、または、保証人・物上保証人が弁済・担保権の実行等によって債権者に満足を与えた場合の求償権を確保するために、本来弁済などによって消滅したはずの債権者の債権・担保権が求償権の範囲内で弁済者に移転するという代位を伴う弁済。
・対抗要件(たいこうようけん)
物権の変動を第三者に主張するために必要な要件。
・第三者に対する対抗要件(だいさんしゃにたいするたいこうようけん)
不動産物権変動の対抗要件は登記、動産物権変動の対抗要件は引渡し、指名債権譲渡の対抗要件は民法上の原則では確定日付をもってする通知または承諾である。
・第三者による弁済(だいさんしゃによるべんさい)
債務の弁済は原則として第三者もなすことができ(民法474条1項参照)、これにより、①弁済の効果、②弁済者の債務者に対する求償権が生じる。
・代襲相続(だいしゅうそうぞく)
相続人となる者(被代襲者)が相続していれば、その後相続によって財産を承継できたはずだという被代襲者の直系卑属(代襲者)の期待保護のため、被代襲者が相続開始時に死亡その他の理由によって相続権を失っているとき、被代襲者と同一順位で相続人となること(民法887条2項)。
・逮捕(たいほ)
強制捜査の一つ。捜査機関が被疑者の身柄を拘束するのが本質であるが、最長72時間と比較的短時間の拘束である点で勾留と区別され、その形態により、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の区別がある。
・建物買取請求権(たてものかいとりせいきゅうけん)
借地権の存続期間が満了した場合において、契約が更新されないときに、借地権者が借地権設定者に対して、借地上の建物などを時価で買い取るよう請求することができる権利。
・担保物権(たんぽぶっけん)
債権者が、債権の回収を確保する手段として、債務者または第三者に属する財産から優先的に弁済を受けるために、その財産に設定する権利。
・地役権(ちえきけん)
A地(要役地)の利用価値を増すためにB地(承役地)を利用する物権(民法280条~294条)。
・地上権(ちじょうけん)
他人の土地において工作物または竹木を所有するために、その土地を使用する物権(民法265条~269条の2)。
・嫡出子(ちゃくしゅつし)
法律上の婚姻関係にある夫婦から生まれた子のことをいう。
・嫡出否認の訴え(ちゃくしゅつひにんのうったえ)
嫡出子の推定を受ける子(民法772条)について、その推定をくつがえし、その子が自分の子ではないことを主張するために、母の夫(または夫であった者)が提起する訴えである。
・中間省略登記(ちゅうかんしょうりゃくとうき)
前々主、前主、現所有者と不動産の所有権が移転したにもかかわらず、前主をとばして前々主から現所有者に直接移転したかのようにみえる移転登記のことをいう。
・懲役(ちょうえき)
受刑者を刑事施設に拘置して、強制労働に服させる刑罰をいう(民法12条2項)。
・賃借権(ちんしゃくけん)
賃料を支払う対価として、目的物を使用・収益する権利をいう(民法601条)。
・賃貸借(ちんたいしゃく)
ある人(賃貸人)が相手方(賃借人)にある物を使用・収益させ、これに対して賃借人が賃料を支払う契約をいう(民法601条)。
・抵当権(ていとうけん)
債権者が、債務者または第三者(物上保証人)が債務の担保に供した目的物(不動産や一定の権利など)を、担保提供者の使用・収益に任せつつ、債務不履行の場合にその目的物の価額から優先弁済を受けることができるという担保物権である(民法369条以下)。
・手付(てつけ)
売買契約などの際に渡される金銭やその他の有価物、またはそれらを交付する契約のこと。
・手付流し・手付倍返し(てつけながし・てつけばいがえし)
買主が手付(解約手付)を売主に交付した場合、買主はその手付を放棄することで、また売主は手付の倍額を償還することで、売買契約を解除すること。前者を手付流し、後者を手付倍返しという。
・動機の錯誤(どうきのさくご)
内心的効果意思と表示との不一致はないが、効果意思を形成する過程で錯誤があること。動機の錯誤は原則として民法95条の「錯誤」には当たらないが、動機を表示して意思表示の内容とした場合には「錯誤」に当たり得るとするのが判例である。
・当事者(とうじしゃ)
自己の名において訴えを提起し、または相手方として訴えが提起され、判決の名宛人となる者のことである。
・特別養子(とくべつようし)
民法847条の2以下で規定された、幼子の養育を目的とする養子縁組を特別養子縁組といい、その養子を特別養子という。特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって成立する。特別養子縁組が成立すると養子と実父母等との親族関係は終了することから、原則として実父母の同意を要する。
・独立当事者参加(どくりつとうじしゃさんか)
第三者が訴訟の原告および被告の双方にそれぞれ自ら請求を持ち出し、原告の請求について同時かつ矛盾のない判決を求める場合をいう(民事訴訟法47条)。