弁護人の選任手続きについてお聞かせください
【事例】逮捕された場合、どのように弁護人を付ければよいのでしょうか。国選とか当番とかいう言葉を聞いたことがありますが、何のことでしょうか。
【答え】弁護人選任権は憲法34条で認められています。弁護人は、家族が面会できないときに面会してくれたり、違法な捜査を防止するようけん制してくれたり、検察官と交渉して早期の開放のために尽力してくれます。逮捕された人と弁護士の間に信頼関係が無ければ弁護活動も暗礁に乗り上げてしまうので、友人知人で、弁護士の知り合いがいる方は、その弁護士を頼ってみてもいいでしょう。
被疑者国選弁護という制度は、一定以上の刑の罪(殺人、放火、傷害、詐欺、窃盗などの法定刑が長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪)で勾留されてしまった場合に、原告として弁護士費用の負担なしに弁護士を付けることができる制度です。資力申告書を出すことで被疑者国選弁護人が選任されます。資力が十分な場合、私選弁護人になる人がいなかった場合に初めて国選弁護人が選任されます。
被告人国選弁護という制度は、刑事裁判への立会いを含む弁護活動を、原則として費用負担なしに弁護士を付けることができる制度です。被疑者国選弁護人が付いていた場合、起訴後、そのまま被告人国選に移行します。また、被疑者国選弁護人が付いていなかった場合、起訴後、罪の重さにかかわらず被告人国選弁護人を付けることができます。
当番弁護という制度は、国選弁護とは似て非なるものです。逮捕された人は法律に詳しくない人がほとんどであり、一刻も早く、弁護士に相談することが重要です。そこで、各地の弁護士会が、逮捕勾留されてしまった人に対し、初回だけ弁護士会の負担で弁護士を派遣し、今後の流れ等について教示をしてくれる制度です。警察の留置係に当番弁護士を呼ぶよう依頼すれば、原則としてその日のうちに弁護士が接見します。接見した弁護士が、そのまま私選弁護や被疑者国選弁護を担当することもあります。
なお、被疑者援助という制度もあります。これは、逮捕勾留されていても軽微な内容であるため国選を使うことができず、お金もないので私選弁護を頼むこともできない場合に、法テラスという組織が弁護士費用を立て替えてくれる制度です。立替となっていますが、多くの場合は償還が免除されています。詳しくは弁護士にお問い合わせください。