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交通事故 紛争解決までの流れ

交通事故の紛争解決まで

 

1 示談による解決 

交通事故の解決方法で一番多いのは示談です。紛争を長期化させたくなく,かつ,以下に述べる訴訟などによっても請求できる額がさほど変わらないような場合は,裁判をせずに,話し合いによって解決できることが望ましいでしょう。

通常は,ほぼすべてのケースにおいて,まずは示談解決ができないか模索することになります。

 

⑴ 示談交渉の方法

ア 自分で行う

イ 加害者で任意保険(示談代行を含む)に加入している場合,保険会社に行わせる

ウ 弁護士に委任する(可能であればこれが望ましい)

 

⑵ 交渉時期

ア 傷害の場合

早めに始めてしまうと,後になって治療が必要になり治療費が出てくる可能性がある等するので,治療が終わった時点か,症状固定(これ以上は良くならないと判断し治療を打ち切ること)になった時点で始めることになります。後遺障害が残った場合は,後遺障害等級が確定してから開始することになります。

  なお,交通事故により仕事ができず生活費に困るような事案では,仮払金の支払いを求める余地もあります。

 

  イ 死亡の場合

  損害は,被害者の死亡と同時に確定します。遺族の心の整理がつき,冷静さを維持できるのであれば,いつ開始してもよいでしょう。心の整理がつくのに時間がかかる場合,時効は損害が確定したときから3年ですので,この点にのみお気を付けください。

 

⑶ 交渉の注意点

ア 冷静な判断(対応)をする

イ 損害賠償に関する,ある程度の知識を身に付ける

ウ 相手(保険会社)は低い額で提示してくる

エ 相手(保険会社)の言う事を鵜呑みにしない

オ 相手(保険会社)の言われるがままに応じない

 

示談をするには,「冷静さ」が大切です。冷静な状態でないと判断力に欠け,相手のペースに巻き込まれやすくなります。冷静な判断が出来ない時は,交渉は止めましょう。

賠償額については,保険会社が最初に提示してくる額は,低めに設定してあります。相手の言葉を鵜呑みにせず,冷静に提示額を見極める必要があります。妥当な金額がわからない時は,交通事故の専門家や,弁護士に相談するとよいでしょう。

 

また,損害賠償の知識も身に付けておかなければなりません。

相手が保険会社の場合は,日常的に交通事故を扱っていますので,示談に慣れています。どんな言葉や条件を提示してきたり,焦るような事を言ってきたりするか予想できません。知識がないと反論もできず,言われるがままに応じぜざるを得なくなりますので,知識を得て,急かされても慎重に,相手のペースに巻き込まれないように行いましょう。

 

⑷ 示談書

示談が成立したら,示談書または免責証書の作成を行いましょう。口頭でも示談は成立しますが,後に争いになったり,言った言わないの水掛け論になりかねません。重要な話し合いの結果ですから,当事者間の意思表示を立証できるものとして,書面に残しましょう。

 

2 交通事故紛争処理センターでの解決

交通事故紛争処理センターとは,裁判外で争いごとを解決してくれる第三者機関「ADR(Alternative Dispute Resolution)」の一つであり,中立の立場で,和解あっせんや紛争解決のための審査などを行なっています。示談で解決できない場合,この機関を利用することを検討することもできます。

 

3 裁判所の手続きによる解決

⑴ 調停

 当事者間による話し合いが上手くいかない場合,簡易裁判所において,「民事調停」を利用する方法があります。お互いが感情的になっていたり,交渉において相手の主張する内容が正しいか判断に困る場合にも利用します。ただし,調停はあくまで簡易裁判所で行う話し合いの一種ですので,おおよそ話し合いが不可能であるような事案では,調停には向きません。

合意が成立すれば調停調書が作成されます。これは判決と同じ効力が与えられ,相手が支払に応じない場合,強制執行(差押え)を行うことが可能です。

  話し合いが決裂して合意が成立しなかった場合,訴訟等の手続きを検討することになります。

 

⑵ 訴訟

 示談でも調停でも上手くいかない場合の最後の手段として,簡易裁判所又は地方裁判所において,民事訴訟(裁判)で解決を図ります。主に,当事者間の提示額に大きな開きがあり,交渉の余地がないような場合に行われます。

 

⑶ 和解

 裁判がある程度進んだ段階で,裁判官がお互い譲歩して解決するよう,その時点の裁判官の心証に基づいて,和解案を提示してくることがあります。合意すると和解調書が作成され,判決と同じ効力が与えられます。

 

⑷ 判決

訴訟の和解で終結しない場合,判決が出されます。判決が確定すると,判決によって判断された賠償額を加害者が支払うことが確定します。判決内容に不服のある当事者は,確定前であれば上訴(控訴・上告)することができます。

判決の場合,損害賠償金に加えて,事故からの遅延損害金や弁護士費用(一般的には請求認容額の1割相当額)も認めてもらえます。

以上